自己破産と財産の処分(保険と不動産)について
前回は預貯金と自動車について解説いたしましたので、本日は財産のうち保険と不動産について解説いたします。
まず、保険は解約返戻金の金額で判断されます。一定金額(概ね20万円前後)以上の解約返戻金額がある保険は処分する必要性が発生します。保険が誰の保険であるかは契約者の名義で判断されますので、ご両親が勝手にご本人名義で保険の契約をしていることがたまにありますが、このような場合もご本人名義の保険として扱われます。ただし、保険金がご両親名義の預貯金口座から引き落とされていた場合など、ご両親名義の保険であることを立証できるような資料があれば、ご本人名義の財産として処分しなくても済む場合はあります。
不動産については基本的に査定を取っていただくことになり、その査定金額で判断されます。やはり一定金額(概ね20万円前後)以上の価値がある不動産は処分する必要性が発生します。住宅ローンなどで借金の担保が入っている場合は、査定金額からその借金残高を差し引いた金額で判断されます。
よく問題になるのはご両親などがお亡くなりになった後に登記名義が移転されず放置されている不動産で、これは法定相続分で相続されたものとして扱われますので、一定金額以上の価値がある場合は処分が必要になります。2024年4月1日に相続登記は義務化されてもいますので、相続した不動産については早期に処理しておくことをお勧めします。
なお、保険や不動産の価値が高く、例えば借金の総額が200万円である一方で、保険の解約返戻金や不動産の価値が200万円あったりするような場合は、財産を売却すれば借金を完済できる可能性が高い以上破産状態とは認められず、破産ができないという事態になる場合もあります。
財産の処分が必要か、手元に残せるかどうかは微妙な判断が必要な場合もございますので、詳細は専門家にご相談ください。

