メリットが多い債務整理手続:個人再生
借金の支払いの負担を軽くする債務整理手続には、大きく分けて任意整理、自己破産、個人再生の3つの手続があります。ここで任意整理は債権者と話し合いで解決する方法で、話し合いのため債権者が納得してくれない場合は整理できず、近年は債権者も経営状況が苦しいため和解条件も厳しくなり、あまり負担の軽減にはならない場合が多いです。
借金の支払いの負担を大きく軽減するにはやはり自己破産や個人再生といった裁判所を使った手続を行った方が良いことになります。破産は借金の支払い義務を免除=ゼロにする制度であり、個人再生は負債総額に応じて借金の8~9割をカットする制度です。ただ、破産は借金の支払い義務を完全に免除してしまう強力な制度であるため、借金の原因によっては免責が許可されない場合があり、また99万円までの現金・普通預金以外の財産は処分や清算を求められる場合があります。
個人再生は借金の1~2割もしくは個人再生を行う方の資産総額を36~60回の分割払で支払うことになりますので、その分だけ破産ほど制限が厳しくありません。免責不許可制度がないため、パチンコや競馬、競艇などのギャンブル、FXや信用取引などの投機行為でできた借金でも問題なく減額されます。また、個人再生は個人再生をする方の資産総額が借金の1~2割より高額の場合、資産総額の支払いをする必要があります。例えば借金の総額が800万円で、資産総額が200万円の場合、借金は8割カットで160万円になりますので、資産総額200万円の方が高額になりますから、この場合は200万円を36~60回払いで返済することになります。
しかし、反対にいえば200万円を支払いさえすれば200万円までの財産なら問題なく保有しておけるということです。退職金がある場合や残しておきたい保険がある場合、比較的年式の新しい自動車を持っている場合などは、大変便利に使える場合があります。なお、住宅ローンが残っている住宅は住宅ローン特別条項付き個人再生という制度で別枠扱いにできるので、個人再生の場合は住宅を残しやすいというメリットもあります。
もちろん、ローンやリースで購入したものは原則として手放さなければならない、保証人がいる場合は保証人に迷惑がかかる、信用情報がブラックになるなど破産と同じようなデメリットもあります。
現在の手持ち資産の総額と借金の総額を十分に把握して適切な債務整理の手段を選択することで財産的な損失を最低限にすることができる一方で、間違った方法を選択してしまうと借金も残るし財産も失ってしまう、ということになりかねません。岡山で借金の支払いにお悩みの場合はぜひ弁護士にご相談ください。