自己破産と財産の処分(預貯金と自動車)について
自己破産を行う場合、所有している財産を処分しなければならないのではないかと不安に考えられる方も多いのではないかと思います。本日は財産のうち預貯金と自動車の処分について解説いたします。
まず、預貯金については、普通預貯金は原則として99万円までは手元に残せますので(これを自由財産と言います)、原則として処分する必要はありません。ただ、その預貯金が腕時計を売却したお金だとか、保険を解約したお金だとか、退職金だとか、自動車を売却したお金だとかいったように、何かを現金化したお金である場合は、現金化する前のものとして扱われ、処分が必要になる場合があります。また、借金の合計が130万円なのに、99万円の預貯金があると、そもそも借金を返せるので破産状態ではないのでは、ということで破産が通らない場合もあります。
これと異なり、定期預金・定額預金は20万円以上の金額の場合、原則として処分する必要があります。従って、定期預金・定額預金はできるだけしない方がいいでしょう。
自動車は、ローンを組んで購入していてまだローン完済前の場合やリース車両の場合は、破産手続きの開始により、ローン会社・リース会社に返却する必要があります。ただ、銀行系のローンで自動車の所有者が金融機関やディーラーではなくご本人名義の場合は、担保が入っていないので返却が不要な場合があります。
もっとも、自動車も7年落ちより新しいもので、かつ20万円以上の価値があるものは処分の対象になりますので、債権者への返却が不要でもこの条件に当てはまる場合はどちらにしても処分しなければなりません。まとめますと、自動車で手元に残せるのは、自分の名義(もしくはローン完済済みで名義変更をしていないだけ)の自動車でかつ7年落ちより古いか、7年落ちより新しくても20万円以下の価値しかない場合ということになります。近年は中古車の価値が以前より上がっていますので、10年落ちでも走行距離がよほど伸びているとか、事故車などでもない限り20万円以下の価値しかない、というのは滅多にありません。
自動車ローンに連帯保証人がついている場合、連帯保証人が支払いを継続するという条件で自動車をそのままにできたというような場合もありますが、この取り扱いが可能かどうかは債権者によって異なります。
財産の処分が必要か、手元に残せるかどうかは微妙な判断が必要な場合もございますので、詳細は専門家にご相談ください。

